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  • ◆きむ店主より◆ 
    韓国の障害者学校で起きていた生徒への性的虐待を描いた小説『トガニ』(映画『トガニ 幼き瞳の告発』の原作)など、社会のイシューをテーマに作品を書くコン・ジヨンさんの新作エッセイ集。政治・社会問題に積極的に発言してきた著者はある政治家との一件があってからソウルの家を売り、椿の花がきれいな慶尚南道・河東に引っ越した。犬を一匹保護してトンベク(ツバキ)という名前を付け、コンという自分の姓を合わせて「娘」にしたという話はまるで、著者が女性として生きてきた韓国という社会の縮図のようだ。3度の結婚で姓が異なる子どもたちがいるが、コンという姓は付けられなかったからだ。周りにいつも人が多かった人気作家が田舎に引っ込んで自分を孤立させて書いた文章からは絶望、そして燃え尽きた魂が少しずつ生気を取り戻していく過程が見て取れる。イスラエルの旅行記と河東での生活談を交差させながらキリストの人生と自分の疲れた心を対比させているのも面白い。
  • ◆山口店長より◆ 
    『ワタリガニの墓 韓国現代短編選』(CUON)に収められている「プラザホテル」で知られる著者キム・ミウォルさんの小説。 この物語は、ある月曜日の通勤途中に横断歩道で信号待ちをしていた主人公が、見ず知らずの女から急に頭を叩かれたことからはじまります。マフラーで顔がよく見えず、正体不明のその女は誰なのか、なにかその女から恨みを買うようなことを自分がしたのだろうかを考えるうちに幼い頃の友だちのことを思い出します。クラスでいじめられていたその子をかわいそうに思って仲良くなったものの、結局ひどいことをして傷つけてしまった過去。あれは友情ではなくただの憐憫だったのでは?もしかしたらいま付き合っている相手も愛情ではなく憐憫なのかもしれない、と懐疑しはじめます。 月曜日の小さな事件によって心の奥底に眠っていた記憶を呼び覚まさせれた主人公の、一週間の心の動きが、現在と過去を行き来しながら立体的に描かれています。
  • ◆かな店長より◆
    韓国で初めて人工繁殖で誕生した、パンダの「福宝(フーバオ)」。エバーランド動物園で飼育員に愛情たっぷりに育てられました。パンダは中国からの貸与されているので、繁殖期になると中国に行ってしまいます。フーバオが中国に行った時に困らないように飼育員は中国語で声をかけたりもしました。そんなふうに愛情たっぷりにフーバオを育てた飼育員のカン・チョロンさんが書いた本です。ジャイアントパンダとの出会いから、フーバオの誕生、成長を見守ってきた温かな眼差しが感じられる本です。
  • ◆しみず店長より◆
    「日刊イ・スラ」で画期的な作家デビューを果たしたイ・スラさんの初小説。長編小説となっていますが、一話読み切りのシットコムのような作品です。なぜならそれは、著者が最初からドラマ化を念頭に置いて書いたから。そして今まさにドラマの制作が、イ・スラさん本人の脚本で進められています。「家父長」でも「家母長」でもなく、娘が一家を率いる「家女長」の時代の到来を示唆する物語。一見、革命的ですが、実は、涙あり、感動あり、笑い多めの家族ドラマです。4月にCCCメディアハウスから拙訳刊行予定。
  • ◆ジヨン店長より◆
    『怠けてるのではなく、充電中です。』『ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。』など、多数のエッセイで人々の共感を呼び起こしたダンシングスネイルさんの最新作。日常で経験したエピソードに彼女ならではの可愛らしいイラストが添えられていて、穏やかで温もりあふれる一節一節が胸に響く。それはまるで、 頑張らなきゃという考えにあえぎながら、意味もなく時間に流されるような毎日を過ごしている人に、日常を振り返って自分自身を励ます時間をプレゼントしてくれるかのよう。そんな温かい時間を経て、ありのままの自分を愛し、認めてこそ幸せになれるはずだ。
  • ◆スタッフさわだより◆
    小学4年生にしてはちょっと冷静で、淡々としている主人公ジョンフン。そして時にはぶつかりながらも笑いあい、助けあいながら遊ぶクラスメートのソクジン、チュンソ、ハリ。まっすぐに怒って、悲しんで、おかしいと思えばおかしいと言う。困っている人も、困っている犬も助ける。融通のきかない大人もいるし、信頼に値する大人もいる。ノーキッズゾーンもあれば、孫のために1人で立ち上がるおじいさんもいる。「子どもらしい」って何だろう?「大人らしい」からすごいのか?読みながらふと、この漫画に出てくる子たちはみな、一人ひとりが「その子らしい」と気づいた。だから魅力的で、友達にいたらいいな、と思わせてくれる。漫画のコマの中がキラキラ輝いていたり、大事件が起こったりはしないけれど、毎日身近な人たちと真面目に、優しさをもって向き合う子どもたちの姿は新しくて、温かい。
  • ◆宣伝広報担当ささきより◆
    間もなく3月1日からNetflixで公開となる映画『ロ・ギワン』の原作小説としても話題の『ロ・ギワンに会った』は、ヨーロッパのブリュッセルに流れ着いた脱北者の青年ロ・ギワンの足跡を放送作家のキムが辿る旅が描かれています。週刊誌で見つけたギワンのインタビュー記事の言葉に導かれるようにブリュッセルに渡るキム。そして、そこで出会う医師パクやキム自身の抱える思いもギワンの言葉に重なっていきます。自身の過去と向き合う姿は時に辛く切ないものですが、過去と向き合い、そこから立ち上がる人間の強さもまた感じられる作品でした。社会から背を向けられたり、帰属感のないままさまよう人々を描き続けているチョ・ヘジン作家の「目には見えないその人の涙まで慈しみの心で紡ぐ」という思いが詰まった一冊です。
  • ◆きむ店主より◆
    私たちはどうすれば安全な社会で健康に暮らせるでしょうか? 本書は、この質問に対して保健学者である著者のキム・スンソプ教授が私たちに出してくれた処方箋でもあります。医療技術がいくら発達しても嫌悪、差別、雇用不安、災難などによって人々は病み、死んでいきます。堕胎、解雇、消防職員の安全と待遇、同性結婚、加湿器殺菌剤死亡事件など韓国の重要な社会問題とそれに関連するデータが世界各国の事例や対策と共に紹介されています。著者が挙げている韓国の健康不平等の事例は、日本で同様に進んでいる問題でもあり、日本社会にとっても良い処方箋になると思います。
  • ◆ノ店長より◆
    旅を通じて文学と文化のつながりを知ることのできる旅行エッセイ。江華島の詩人の村、都心の中にある王様のお墓である宣政陵、ノ・チョンミョン生家跡、京畿道光明のキ・ヒョンド文学館、安東のイ・ユクサ文学館、康津の茶山・丁若鏞記念館、世界遺産の水原華城、済州の馬羅島まで、詩人でもある著者が春から冬まで季節ごとに行ってきた21カ所の多彩な旅先の物語が写真とともに綴られています。タイトルのように、この本を片手に紹介された場所を訪れてみるのはいかがでしょうか。著者キム・チャジュンさんの4編の詩にも出会えます。
  • ◆山口店長より◆ 
    『アロハ、私のママたち』など、韓国YA文学の先駆者であるイ・グミさんの長編小説。 同じ全寮制高校に入学し偶然出会った二人の少年ジオとソクジュ。卒業以来、疎遠になっていた二人が数年後に再会を果たします。待ち合わせの場所へ向かう二人の過程が、それぞれの視点・時間軸(ジオは現在→過去へ、ソクジュは過去→現在へ)で章ごとに交互に織り込まれ、まるで電車のダイヤグラムのように物語が進行していく構成がおもしろく、美しいです。人生のすべての瞬間は偶然でできていて、その偶然と偶然を“選択”で結んで作り上げられる自分の人生。失敗することや後悔することもあるけれど、傷ついたり挫折を経験したその分人生は輝くのだから、恐れず人生と向き合って一生懸命に生きよう、と勇気づけられる作品です。
  • ◆かな店長より◆
    韓国でもっとも有名な料理人といってもいいペク・ジョンウォンさん。韓国酒の勉強をしてきたペクさんが、韓国酒の魅力を教えてくれる一冊です。普段から彼のレシピで韓国料理を作り、お酒も好きな私はすぐ手に取って読んでしまいました。 本の中では、韓国の各地にある韓国酒の醸造所とその商品が紹介されています。この本を片手に韓国中を旅行できたら楽しいだろうなぁ。韓国酒の種類や製法、おいしい飲み方や保管方法までさまざまな情報が掲載されていて、これ1冊で韓国酒の基礎知識が身につけられます。
  • ◆しみず店長より◆
    累積聴取回数が2000万回を超える話題のポッドキャスト「ビホンセ(非婚世)」の制作者であり進行役でもあるクァク・ミンジさんによる非婚ライフエッセイ。拙訳で亜紀書房から『私の「結婚」について勝手に語らないでください。』として邦訳版が出たばかりです。強くて、でもちょっと弱くて寂しがり屋で、義理堅くて温かいけれど理性的で合理的な面もあり……そんな著者ならではの語り口で非婚をはじめさまざまな既成概念や固定観念をひっくり返してくれるエッセイ集です。女性だけでなく、男性にもきっと共感や気づきがあると思います。
  • ◆ジヨン店長より◆
    『フィフティ・ピープル』、『保健室のアン・ウニョン先生』など作品に社会的なメッセージを盛り込んできた作家チョン・セランによる初の歴史ミステリー小説。舞台は高句麗と百済を統一した新羅時代、主人公は男装の女性、ソル・ジャウンです。亡くなった兄の代わりに唐に留学し、首都の金城(クムソン)に帰ってきたソル・ジャウンが、滅びた百済出身のモク・インゴンとペアを組んでミステリー事件を解決していきます。目の前で繰り広げられる7世紀の金城の風景と、魅力的な人物たちが挑む謎解きの冒険談に、最後のページをめくるまで目が離せないはずです。今後の展開も気になる「ソル・ジャウンシリーズ」の1冊目で、チョン・セランの新しい世界へ飛び込んでみてはいかがでしょうか。
  • ◆スタッフさわだより◆
    お父さんと子どもが毎月違う路線の地下鉄に乗り、ソウル・首都圏を旅する地図絵本。登場するのはソウル地下鉄1〜9号線、仁川まで続く水仁線、ソウルと春川を結ぶ京春線、北朝鮮国境に近づく京義中央線の計12路線。路線を俯瞰して見るだけでなく、2人が会話しながら散策する様子を追いながら、今どきの観光地から四季を感じる風景、歴史がわかる名所まで巡ることができます。私は5号線だけが全駅地下にあるというのをこの本で初めて知りました。電車に乗るというテーマを掲げて、月ごとに違う旅を楽しむ1年という設定だけでもわくわくして真似したくなります。ソウル旅行の思い出がある人は、乗った路線のページからお楽しみください!
  • ◆宣伝広報担当ささきより◆
    日韓の狭間で暮らす多彩な執筆陣によるさまざまな視点の話題を楽しみにしてきたエッセイ誌『中くらいの友だち』。南椌椌さんの詩を読みながら、YouTubeでイムジン河を聴き、李銀子さんの川崎桜本のハルモニの話に涙し、山岸由佳さんのK-スポーツ話を興味津々に読み進め、思わず「ジホン君、ファイト!」と声を掛けたくなった平野有子さん親子の物語、「ムク」の奥深さを知った、きむ・すひゃんさんの話、などなど、等身大の今の韓国を伝え、時には歴史の中で生きてきた人々の声を届けてくれる、まさに「韓国を語らい・味いわい・楽しむ」雑誌です。ぜひ最終号の今号をお買い忘れなく!
  • ◆店主きむより◆
    愛に満ちた60余編の詩が収録された詩集「海は元気です」。恋に落ちたのね、2人の間係がなんだかギクシャクしてるな、アイゴ、2人が別れる決心をしている、ああ、どうしよう、別れてしまう、ひとりで時間を耐えているんだーーそんな切ない気持ちがページのあちこちににじんでいます。愛することはいろいろ大変ですが、イ・ビョン二ョルさんのことばで自分の気持ちがちょっとずつ整えられる気がします。これこそ詩の力でしょうか。最後にある詩人のキム・ソヨンさんが書いた解説も必読。愛の「あざが体の外に忽然と出てしまう」ように慰められたと書いています。愛の傷をあざと表現するソヨンさんもソヨンさんですが、そのあざを丁寧に丁寧になでてくれるイ・ビョン二ョルさんがいて安心です。
  • ◆ノ店長より◆
    『花を見るように君を見る』のナ・テジュ詩人と『真夜中のちいさなようせい』のシン・ソンミ作家によるコラボ作品。 懐かしさ、愛、日常の中の発見、宝石をテーマとした60編の詩と付録で構成されています。小さくてか細いものに対する温かい視線と、詩と絵の言語に想像力が加わったストーリー。2人の芸術家が繰り広げる温かい感性、ジーンとして切ない気持ち、時にはクスクスと笑いも出る独特のユーモアで童話の世界に陥ったような気分を味わうことができます。いろんなシーンの韓服姿はパラパラめくるだけで気分転換になリます。そばに置いておいて疲れた時に読みたい詩集。シン作家の原画についてのエピソードも面白いので、どうぞお見逃しなく。
  • ◆山口店長より◆
    4人の作家によるSF短編集です。SFですが宇宙や異次元の空想物語というよりは、わたしたちの生きている社会をテーマとしています。 足が不自由な子、父親がいない子、精神だけが存在する人、目が見えない人(実は宇宙人)、上下あべこべの人魚、記憶障害のある人。4編の作品の中には様々な人物が登場します。まわりのみんなと違うことで好奇の目で見られ「かわいそう」と思われがちな彼らは、はたしてみんなより不幸なのでしょうか? ずっと先の未来、今とはまったく基準がひっくり返って、障がい/非障がいの境界が崩れた世界を描くことで、何を基準に「障がい」というのか、そもそも「正常」な状態とは何なのかを問いかける作品です。
  • ◆かな店長より◆
    「愛犬のムンゲが文章を書いたとしたら」という視点で描かれているイラストエッセイです。これまでは自分の視点で感じたことを書いてきた著者が、文章を書ける愛犬の目線で日常を描きます。著者が一番気を付けたのは、ムンゲを擬人化しすぎないこと。いろいろなことを考えるけれどもあえて言葉にしない、犬のステキな部分をうまく表現できるように心がけたそうです。 1ページにムンゲのイラストと、ムンゲの想いや感じたことが一言でつづられています。シンプルなイラストなのに、モフモフとした犬の毛並みが伝わってくるのが不思議です。私も猫と暮らしているので、「うちの子も文章を書いてくれたらなぁ」と思いながら、温かな気持ちでページをめくりました。犬や猫が好きな方、一緒に暮らしている方におすすめします。
  • ◆しみず店長より◆
    2022年マン・ブッカー国際賞のロングリストにノミネートされた『呪いのウサギ』と『大都会の愛し方』を英訳したアントン・ホのエッセイ集。韓国で生まれ育った著者が通訳や産業翻訳を経て、数少ない韓英の文芸翻訳家としての地位を確立するまでの道のりが綴られています。無名だったために見向きもされなかった頃、韓国の出版社に猛アピールして版権を獲得し、米国の出版社を必死に説得して英訳本刊行を実現してきた著者の「韓国文学愛」が「何があってもあきらめない」という熱いメッセージと共に伝わってきます。原文に耳を澄ますように「出発語」を「到着語」に移していくという描写もとても美しく、心に響く一節です。
  • ◆ジヨン店長より◆
    性理学を根幹とする士大夫中心の階級社会、朝鮮。 朝鮮の身分制が生み出した蔑視と冷遇の中で厳しい生活をしていたはずの民衆にとって慰めは何だったのでしょうか? この答えは、朝鮮後期の学者たちの文集に登場する見知らぬ人たちの話から始まります。 両班をからかって一躍スターになった抱え主、宴の中心になるセレブや話を作って路上で聞かせてくれるイヤギクン(話し手)など、いわゆる「非主流」文化を享有する、朝鮮時代ならではのユニークな芸能人たちが続々登場し、今でいうと、「エンターテイナー(芸能人)」と呼ばれる人たちの興味津々たる話が広がります。
  • ◆スタッフさわだより◆
    「すべては秋から始まった」。その一言から始まる、画集のような、詩集のような絵本です。ページに広がるのは、著者がソウルの延南洞(ヨンナムドン)で暮らし、弘済川(ホンジェチョン)周辺を散歩しながら出会った野草。枯れゆく枝葉、そしてそれらを包む余白まで確かな存在感を持って描かれています。秋や冬は、花が落ち色褪せてゆく「終わり」の時なのか、種が人知れず土の中で次の一年を待つ「始まり」の季節なのか。そんなふうに思いをめぐらせながら眺めていると、自ずと野草の一生に、私たちの移りゆく日々や人生が重なり浮かび上がってきます。
  • 1980
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    • ¥1,980
    • ¥1,980
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    ◆宣伝広報担当ささきより◆
    日本における韓国文学の隆盛をもたらした要因の一つには素晴らしい翻訳者の方々が多く存在したからでしょう。その第一人者と言える翻訳家・斎藤真理子さんによる本作は、圧倒的な読書量がもたらされた深くて広い読書ガイドであり、書籍評論でもある読書エッセイです。25篇の中でも特に私の心に残ったのは「長璋吉が描いた朝鮮語の風景」に登場した『私の朝鮮語小辞典-ソウル遊学記』。「生きた韓国人と韓国語の世界を書き上げてたいへん好評を得た」との紹介に心惹かれ、「日本の古本屋」サイトから早速購入してみました。そんな行動を促してくれる最高の読書エッセイ本です。
  • ◆きむ店主より◆
    韓国文学がどのような経緯で翻訳され、翻訳者がどのような方法で翻訳を行うのかが綴られた翻訳当事者の話。主に韓国文学を英語に訳す人たちが書いたもので、韓国語と英語が併記されています。4部構成で、1部は作品を翻訳する際の作業過程や翻訳者の深い悩み、2部は誤訳論争と創造的な翻訳について、3部は韓国文学の翻訳の歴史と課題、4部は韓流ブームの中のK文学のポジションと実体についてそれぞれの率直な思いが記されています。特に、『82年生まれ、キム・ジヨン』を翻訳したジェイミー・チャンの文章、金恵順(キム・ヘスン)の詩を共同翻訳したローレン・アルビンとペ・スヒョンの文章を、翻訳家を夢見る人に特におすすめしたいです。
  • ◆ノ店長より◆
    姿を消した世宗大王を探す、絵探し絵本。 科挙試験日の朝、試験を主管しなければならない世宗大王の姿がどこにもありません。臣下たちは右往左往しながら宮殿の外に出て世宗大王を探します。ページをめくるたびに、こっそり隠れている紫色のトポを着た若くて素敵な世宗大王を見つけるのも楽しいですが、王様が住んでいた宮殿の様子や勤政殿、水刺間、市廛、ピマッキル、四大門と葬儀門など、朝鮮時代に実際にあった場所を確認するのも面白いです。まるでタイムスリップしたような感じです。 民衆を愛した世宗大王、彼が消えた理由は一体何なんでしょうか?臣下たちは世宗大王を見つけることができるでしょうか? 年齢を問わず誰もが楽しめる絵本です。
  • ◆山口店長より◆
    斧を手にしたテディベアの表紙が印象的なチョン・イェウン著『テディベアは死なない』。 2025年8月、再開発により発展を遂げたヤム市が舞台。高層マンションの住民を無差別に狙った毒入り餅事件が起こり、9人が死亡。 主人公ファヨンは、マンションで家政婦として働いていた母親をその事件で亡くしました。犯人の自殺により事件は解決したように見えましたが…。ふだん餅を絶対に食べない母がなぜ死んだのか?真犯人が別にいるはずだ。ファヨンは母の死の真相の究明と復讐を誓います。復讐するために必要なお金(目標額2000万ウォン)を集めながら生活していたファヨンに、あるときピンチが訪れます。そこにテディベアが現れて手助けしてくれるのですが、テディベアの正体はいったい? 餅事件の真相を追ううちに想像以上にいろんな事情が絡んできてすごい展開に。ホラーな要素もあり、ドキドキ、ゾクゾクする物語です。
  • ◆かな店長より◆
    パラパラめくっているだけで、いつもの日常が色鮮やかに楽しげに思えてくるような本です。 イラストレーターのキム・イランさんが、1日1ページの水彩画のイラストと描いたものに関するストーリーや想いをつづっています。4月1日からはじまり3月31日までの365日分が収録されています。例えば、自宅で育てている観葉植物、おいしかったデザート、季節のフルーツ、近所にいる猫たち、新しくできたカフェ、新調した洋服、購入した趣味の品など。一つひとつは特別なものではないですが、キム・イランさんのフィルターを通すだけで、身の回りにあるモノや風景がなんだかとても魅力的に見えてきます。イラストが中心で韓国語の文量は多くないので、韓国語初心者の方にも読みやすい本です。
  • ◆しみず店長より◆
    1991年に創設された韓国初の女性刑事機動隊。その時に女性として初めて強行犯係の刑事となったパク・ミオクさんの30年間にわたる刑事生活が綴られたエッセイ集は、人間味あふれる刑事ドラマそのもので、彼女が数々の現場を経験しながら得た「人生哲学」がたくさん詰まっています。組織の中での生き方、そして一人の人間としてどう生きるべきか、普遍的な問題がページをめくるたびに読む者の心に迫ってきます。今は引退して済州島で後輩たちと一緒に暮らしながら人が集まれるサロンのような場所を作ろうとしているというパク・ミオクさん。この本が出てからニュースに芸能番組にと引っ張りダコなので、興味を持たれた方はまずYouTubeなどを検索してみるのもいいかもしれません。
  • ◆ジヨン店長より◆
    旅行作家キム・ソダムが「自分らしい人生」を歩んでいる10人の20代、30代に取材したインタビュー集。専業主夫、若い鍛冶屋、性平等教育活動家、ビーガンのダンサーなど一風変わった世界を築いてきた彼らには共通点がある。それはよく言われる一般的で安定した生活から自ら離脱し、自分だけのキーワードをもって主体的に生きていること。誰の顔色も伺わず人生の主人公になろうとする彼らの話は、人生の目標をどう定め、どこに向かって生きればいいかと迷っている人に贈る応援メッセージにもなるはずだ。愉快な若者たちの奇抜な哲学と多様な生き方を垣間見ることのできる一冊。
  • ◆スタッフさわだより◆
    コロナ禍にソウル北西部の小高い丘の上の家に引っ越したイラストレーターのイダさんは、窓の外で遊ぶ鳥の「オナガ」を見かけます。以来自然観察を始め、鳥に樹木、家の中に現れる小さな虫まで、意識しなければ見過ごしてしまいそうな生き物を、見つけた時の驚きや思い出と一緒にイラストで残します。何度も登場するお馴染みの生き物もいて、なかでもアヒルの三きょうだいの話が出てくるたびに、元気で暮らす様子にこちらまでホッとします。1年分の日記を季節に合わせて読み進めようなんて思っていたのに、つい気になってページをめくってしまう、ユーモアと発見に溢れた特別な日記帳です。
  • ◆宣伝広報担当ささきより◆
    まるで韓国ノワール映画を観ているような世界に没頭してしまったミステリー小説です。残忍な犯人によって、目の前で妻と娘の命を奪われた大学教授ユ・ミョンウは、その犯人が古書に異常なほどの執着を持っていたことに気づく。事件が未解決のまま15年が経過したところで、犯人をおびき出すために古書だけを扱う「記憶書店」を開店すると、予約制にした店に現れた4人の客の中に犯人がいると確信する。犯人との神経戦とも言えるやりとりに目が離せず、一気読み。映像化した際の配役をイメージしてしまいましたが、そんな配役を語り合ってみたくなる一冊にまた出会いました。
  • ◆きむ店主より◆
    人々が好む体験はどのように設計されるのか? ここ数年ソウルのあちこちで安定的に自分の世界を展開し、消費者を惹きつけたプレイヤーたちの話が聞ける貴重本。 ブランディングに関する話でもあり、起業を目指す人たちには先輩からのアドバイスでもあり、 ソウルが好きな日本の読者にとっては、変わったソウルの裏側を知ることができる高級ガイドブックでもあります。
  • ◆ノ店長より◆
    朝鮮における帽子とは、衣服の装身具の役割を超え、身分と階級、職業、年齢、性別を象徴した一種の社会的コードでした。朝鮮人は帽子を名誉の象徴として大切にし、衣服の一部と考えていたので家に入る時も靴は脱いでも、帽子だけはかぶったままで、食事中はもちろん、王の前でも帽子は脱がなかったのです。作家は朝鮮王朝518年を貫いた身分制度から生まれた朝鮮の帽子が作り出す東洋と西洋の文明観の違いや19世紀の朝鮮で起きた出来事を冷静な目線で語っています。また驚くほど様々な種類の帽子とその材質、製作方法、用途、使い方などが詳しく説明されています。特にナンモ(난모)を愛した朝鮮の女性たちと、カッ(갓)を大切にしたソンビたちのエピソードが興味深いです。
  • ◆山口店長より◆
    『브로콜리 펀치(ブロッコリーパンチ)』のイ・ユリさんによる短編集。イ・ユリさんは2020年にデビューした比較的新しい作家で、”イ・ユリユニバース”と呼ばれる独特の世界観がおもしろく、この短編集に収められている作品にも、人間ではないものや、元人間が登場して、シュールな状況に思わず、くすっと笑わされます。その中の一つ「フェアリーコイン」には妖精が登場します。不動産詐欺に遭った夫婦が損失額を取り戻そうと、家で飼っている妖精を利用して大掛かりな仮想通貨詐欺を企てるお話なのですが、果たして計画は成功するのでしょうか?不思議なイ・ユリユニバースをぜひ体感してください。
  • ◆かな店長より◆
    登録者数22.5万人の人気YouTubeチャンネル『リトルタネの賢い生活』を運営するYouTuberの初めての著作です。リトルタネはコロナ禍に村へと引っ越した30代女性。YouTubeでは落ち着いたトーンの声とコミカルな表現で田舎でのゆったりとした暮らしの様子を伝えています。童話に出てきそうな素敵なカントリーハウスに暮らす彼女は、「倒れたら休んでいこう」がモットー。日本でもコロナ禍をきっかけに地方移住する人が増えているので、彼女の暮らしに憧れたり、共感する人も多いのではないでしょうか。
  • ◆しみず店長より◆
    家も名前も忘れてしまった「コグマ(さつまいも)」が、初めて出会った仲間たちの力を借りて家を探しに出かける物語。さつまいもを食べた後につきものの「あれ」も登場し、子どもも大人も楽しめる絵本です。標準語の語尾「요(ヨ)」を「유(ユ)」と発音する忠清道の方言で描かれていて翻訳者泣かせではあるものの、そこにはとても平和で、のんびりした穏やかな響きがあり、音読していると温かい気持ちになれます。K-BOOK振興会主催の日韓出版人交流プログラムで出会った絵本専門の出版社「パンダル(半月)」の社長もイチオシの作品。著者は、以前におすすめした『황새 봉순이(コウノトリのポンスニ)』のサイダさんです。
  • ◆ジヨン店長より◆
    美しい言葉で苦しい心境を情緒的に描いた尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩集『空と風と星と詩』を模して、物理学者の目に映った世の中と人を解きほぐしたエッセイ。一見全く釣りあわない「感性の文学」と「理性の物理」の二つの世界が奇妙につながっているようなこのタイトルには、以前から「人」を理解したいと思っていた著者キム・サンウクの思いが込められている。 一時は物理学に精通すれば世の中を究明できると信じていた著者が無数の研究の末に悟ったのは、物理の境界を越えてこそ「人」を理解できるということ。原子から物質と生命、ひいては宇宙と人間がどのように絡み合っているかを易しい言葉で伝えるこのエッセイは、今までにない未知の世界の招待状になるはず。
  • ◆スタッフさわだより◆
    恥ずかしがり屋で口数の少ない小学3年生の女の子サンアは、遠足途中のサービスエリアでリスを追いかけ森の中に迷い込み、古くて小さなトイレから出られなくなってしまいます。読むこちらも辛くなるような一人ぼっちの恐怖の中で、思い出すのは周りの人と交わした会話。キンパの弁当を用意して送り出してくれた母に、母とすれ違い離れて暮らす父、祖父、友だち……。繊細な心と小さな体を奮い立たせて脱出を試みます。原書を読み切る経験を積みたい韓国語学習者向けの本を探す中で見つけた一冊です。韓国の小学1、2年生向けのシンプルな物語とはいえ、中級レベルの学習者にとっては単語帳を繰り返すだけでは覚えにくい生活に密着した単語も多く、読み応えも感じられます。「◯◯で3年」シリーズは他にも3冊あるので、ぜひ合わせてチャレンジしてみてくださいね。
  • ◆宣伝広報担当ささきより◆
    シリーズ累計150万部という大ベストセラーの日本語版がいよいよ登場。ソウルの下町で「不便なコンビニ」とも呼ばれる店を営む元教師のヨムさん。ある日、駅で無くした財布を守ってくれた熊のようなホームレスの大男「独孤(トッコ)」と出会います。ひょんなことから店で働くことになったトッコとの出会いによって、店の従業員たち、ヨムさんの息子、そして店の客たちまで不思議なように人生の歯車が廻り始めます。やはり人と出会うこと、話すことっていいね、と素直に思えるその読後の温かさをぜひ味わってほしい作品。プレゼントにもおすすめです。
  • ◆きむ店主より◆
    2000年から2018年まで韓国に在住していた歴史学者の藤井たけしさんが、2014年から3年にわたってハンギョレ新聞に連載したコラムなどを集めたもの。社会的なイシューを取り上げながら持論を見せているが、視線はいつも観察者ではなく当事者だ。セウォル号の話が何度も出てくるが、「この事件を『セウォル号』という固有名詞で呼ぶことの危険性」を指摘し、「『4.16』と呼ぼう」と提案する。金承玉、趙世熙、李良枝、森崎和江、金時鐘、ブレヒト、『国際市場』、『九月、東京の路上で』といった作家名や映画、書籍のタイトルも多く登場し、その関連本を読みたくなる。いい本というのは、読むとついつい横道にそれてしまうものだ。藤井たけしさんの文章は隠喩が多い。韓国語で文章を書きたい人は、この本をぜひ筆写してみてほしい。
  • ◆ノ店長より◆
    愛、懐かしさ、日常、自然、そしてまた愛をテーマとした5パートに分かれています。 短いけれど多くの意味が潜んでいる詩、ジーンとくる詩、やさしいようだがずっしりとした響きのある詩など100編の詩が載っています。 ぺ・ジョンエさんのカリグラフィーで書かれた詩やスローアスさんの押し絵が一緒になっていてめくるたびに楽しく飽きさせません。書き写しのできるページが右側に設けられているので、ゆっくり自分の字で書き写してみるのはいかがでしょうか。 韓国では、5月は季節の女王とも呼ばれますが、そういう今の季節にぴったりの詩集かもしれません。プレゼントにもおすすめ。
  • ◆山口店長より◆
    現代文学pinシリーズの45番目となる作品、チョン·ヒラン著『Kの葬礼』です。 物語はいきなり、Kの"二度目の死"からはじまります。Kという男性作家は15年前に一度自殺して死んでいます。人が二度死ぬなんてことがあるのでしょうか?ミステリーな設定が興味をひき、ひきこまれる作品です。 一度死んだKが二度目の死を迎えるまでの15年間彼と同居してきた女性作家チョン·ヒジョンが第一章に、Kの実の娘である女性作家ソン·スンミが第二章に登場し、第三章ではこの二人の女性が対面することになるのですが、彼女たちの記憶や心情が丁寧に描かれています。そしてこの物語に「死」と同じくらい多く出てくるのが「自由」というキーワードです。自由とは何だろうかと考えさせられ、とても奥が深いです。
  • ◆かな店長より◆
    「GQ KOREA」の編集長として活躍したイ・チュンゴルのインタビュー集です。インタビュー対象は、スポーツや文学、音楽とスピリチュアリティ、ファッションなどさまざまなジャンルで活躍している11人。華やかな活躍をしている人ばかりですが、一枚殻をめくれば、普通の人と同じように不安や挫折を味わったこともあります。 一般的なインタビューは質問文と回答の形式で構成されますが、本書は筆者によるインタビュー対象者の描写と、対象者の語りで構成されています。インタビュー対象者の着ていた洋服や靴、口癖や手振りや身振り、表情などが細やかに描かれているので、それぞれの人物の価値観を理解しやすく、その場の情景が浮かんできます。
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    ◆しみず店長より◆
    李箱文学賞や東仁文学賞など国内の文学賞をはじめ、『새(鳥)』でドイツのリベラトゥール賞も受賞し、数多くの小説家たちに影響を与えてきた呉貞姫作品のエッセンスが楽しめる掌編小説。中年女性が抱える倦怠や憂鬱、自己実現への渇望などを描いた42篇を収録。短い文章の中に、夫や子供との関係、マンション上階の騒音、25年ぶりの同級生との再会などをテーマにした、同世代の女性なら共感必至の物語が詰まっています。掌編小説ならではのオチも痛快。1作品5~10ページと短いので、韓国語の原書を読み始めた人にもぴったりです。『82年生まれ、キム・ジヨン』とのつながり、韓国の掌編小説の歴史などがわかる解説も必読。
  • ◆ジヨン店長より◆
    日常で偶然出会った言葉や単語を収集してノートに記録する詩人アン・ヒヨン。テレビをつけて料理したり、道を歩きながら看板を見たり、洗濯物を回収しに来た運転手さんと向き合った時など、日常に突然割り込んで遭遇する言葉に心を惹かれ、人生を垣間見ることもある。そして、言葉の意味を調べることで自分の人生を振り返り、時にはトカゲやリンゴになってそれが世界を広げる一歩にもなる。 この本には、普段あまり使わない、意味がぱっと浮かばない言葉が多い。しかし、詩的ではない、テクニカルでアカデミックな45片の言葉が詩人の日常に不意打ちするように入り込み、最も文学的な思惟の通路を開く場面はとても感動的だ。まさに言葉一つひとつが発する神秘的な光が美しく輝く一冊と言えるだろう。
  • ◆スタッフさわだより◆
    「仕事を優先すべきだから」「貯金をすべきだから」今は何かを楽しんでる場合じゃないよなぁ。そんなふうに自分の願望や楽しむことをつい先延ばしてしまう人、いませんか?実際には一つやることが終われば次のやるべきことが目の前に現れるもので、「気持ちや時間の余裕が生まれるタイミング」などなかなか来ませんよね。本書では、楽しむことを後回しにしていた著者キム・へウォンさんが、日常の小さな喜びをないがしろにせず大切に拾い上げ、実践するようになった方法を語ってくれています。物事を真剣に考えすぎてしまう、人がどう思うかが気になる、自信はないけど完璧を求めてしまう。そんな思いで日々が少し曇っていると感じたら、気になった章からゆっくり読んでみてください。
  • ◆宣伝広報担当ささきより◆
    稼業ひとすじ45年の女殺し屋が主人公とあっては読まずにはいられないとすぐに手に取ってみました。著者は『四隣人の食卓』(小山内園子訳)でも人気を博したク・ビョンモ。前作では「夢未来実験共同住宅」という奇抜な設定で、「家事労働」「少子化対策」といった韓国社会(いや日本も同じです)の深刻な現実を描き、じわりと背筋が凍る読後感を感じましたが、今作はまた非現実的な「女殺し屋」という設定の中で、「性差」「老い」といった現実の問題をも突き付けてくるキラー小説です。テンポのいい展開と登場人物たちそれぞれの人生に思いを馳せ、最高のエンターテインメントを楽しめる作品です。韓国ノワール映画好きにもおすすめです。
  • ◆しみず店長より◆
    2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選作で、著者は、グラフィックデザイン事務所兼一人出版社を運営しているキム・スンヨンさん。色鉛筆で描かれたような、ヨーロッパっぽい素朴な絵柄が印象的です。主人公は、本が大好きで記憶力はとてもいいのに、子どもの頃のことはまるで覚えていない一人の女性。つまらない毎日を送っていた女性はある日、近所の帽子屋さんで買った白い帽子に誘われるように、幼少時代の記憶が詰まった帽子の森へと入っていきます。そこで過去の自分と出会った女性は、自分がどれだけ特別な少女だったかを思い出し、毎日が前向きで明るいものに変化していきます。癒しを求める大人のみなさんに読んでほしい絵本です。
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