知られざる名品を含む800点余りの逸品を収録した韓国彩色画全集の集大成

韓国美術の中でも特に宮廷絵画と民画は、世界の美術と肩を並べる重要な文化遺産である。韓国美術の独自性を明確に示すと同時に、多様な物語を背景に持ち、かつまた幸運を祈る象徴的な力までも備えた芸術作品であることは、韓国の彩色画が持つ大きな美点である。

宮廷絵画は「画家が描いた宮中で需要のある絵」であり、民画は「民衆の需要にあわせて庶民の画家が描いた絵」を指す。それぞれ需要層は異なるが題材や画風では多くの共通点を有するため、これまで「民画」という用語がこの2つのジャンルを指すものとして使われてきた。しかし、宮廷絵画が豪奢で華麗な彩色画である反面、民画は自由で諧謔的性格があり、モダンな要素が多いという異なる魅力を秘めている。そのためこの全集では、2つのジャンル両方を指し示す用語として、より広範的な「彩色画」を用いている。

全集『韓国の彩色画』は国内外の専門家によって選ばれた名品の数々が、主題別に3巻にまとめられている。図版は作品のディテールや繊細な色彩まで見事に再現されており、あたかも原画を目の当たりにしているかのような驚きと感動を味わうことができる。全集『韓国の彩色画』を通してその価値と美しさが真に評価されることを心から願うものである。

<01>山水画と人物画

彩色画の中でも最も物語が秘められているのが山水画と人物画である。王室の威厳を示し、宮殿を彩った絵画は民間にまで広まり、数々のイメージの変奏をもたらした。また山水画は歴史的由来を持つ風景や、韓国の代表的な自然ともいえる金剛山が多く題材にされた。
日月五峰図|十長生図|海鶴蟠桃図|揺池宴図|神仙図|百子図|郭汾陽行楽図|三国志演義図|九雲夢図|行実図|故事人物図|胡猟図|風俗図|金剛山図|八景図|感慕如在図|扇図


<02>花鳥画

彩色画のなかでも最も作品数が多い。明るく朗らかであり、また幸福を祈願する吉祥の意味が込められているため、家の中を飾るための絵として特に愛でられた。
虎図|雲龍図|瑞獣図|魚蟹図|牧丹図|蓮花図|花蝶図|花鳥図


<03>冊架図

儒教の影響が最も色濃く表れた文字図であるとともに、そのモダンな構成、華やかな装飾性、好奇心を刺激するアンティークの要素が、韓国のみならず海外でも注目を集めている。
冊巨里|文字図


『韓国の彩色画 -宮中絵画と民画の世界』
3巻セット
発行:2015年2月
発行元:タハルメディア(韓国)
発売元:株式会社クオン
ISBN:978-4-904855-73-7 C0072
価格:118,000円+税
サイズ(1巻あたり):260×380×60㎜