『日本語で読みたい韓国の本-おすすめ50選』第6号(2017年発行)より

韓国で最も愛されている画家・李仲燮(イ・ジュンソプ、1916 -1956)が人生のひとときを過ごした国内外の街々を実際に辿りながら、芸術と家族への愛に生きた放浪の生涯を描いた1冊。彼の代表作品もカラーで多く紹介されている。

本書は、生誕100 周年を迎えた2016 年に刊行された。李仲燮の評伝は他にも多くあるが、新進気鋭の若手美術評論家によって書かれただけあり、たいへん読みやすいという点、カラーで紹介されている代表作の描かれた背景が丁寧に説明されている点、李仲燮が放浪した日本と韓国の各都市を筆者が実際に丁寧に訪ね歩くことにより、現在と過去を巧みに交錯させている点などが特長と言える。李仲燮の足跡を訪ねてみようとするならば、素晴らしいガイドブックの役割も果たしてくれることだろう(巻末には各都市における李仲燮とゆかりの深い名所、施設の紹介が12 ページにわたって付けられている)。