運命を切り拓き、すべての生命を包み込む大河小説
平沙里を舞台とした第一部が完結!
11月下旬4巻・5巻同時発売


19世紀末から20世紀半ばまでの朝鮮半島、中国東北部(旧満州)、そして日本を舞台に描いた大河小説『土地』全20巻。
近代史を背景に、様々な立場・職業・境遇の愛と恋、葛藤、悲しみ、喜び、苦難を丹念に描き、生きることの意味を深く問いかける本作は、韓国でロングセラーとなっている。

【4巻あらすじ】
崔参判家の実権を握った趙俊九は、法外な小作料を取り立てるなど、その横暴さは目
に余るものとなった。日露戦争に勝利した日本が朝鮮の主権を侵食し、日本の有力者
につながる俊九の勢いは増すばかりだ。
崔参判家の跡取り娘の西姫は、俊九に反撃できない鬱憤から吉祥、鳳順にしばしば八つ当たりする。鳳順は吉祥への思いを募らせるが、吉祥はその思いを受け入れられない。幼い頃から固い絆で結ばれていた三人の間には、微妙な亀裂が広がる。
祖国存亡の危機に重なる西姫の窮状に、彼女を支えてきた人たちは俊九に反旗を翻した。追われる身となった彼らと共に、西姫は新天地を目指す覚悟を決める。

【著者プロフィール】
朴景利(ぱく きょんに):1926年、慶尚南道統営市生まれ。晋州高等女学校、ソウル家庭保育師範学校(世宗大学の前身)卒。1955年に短編小説「計算」でデビュー、1957年に短編「不信時代」で 『現代文学』新人賞受賞。以後、次々と長編作品を発表し、各種文学賞を受 賞して実力派の作家としての地位を確かなものにすると同時に、韓国の女性作家の草分け的存在となった。1969年から25年間にわたって書き継がれた大河小説『土地』は代表作で あり、韓国現代文学における最も優れた作品の一つと評される。また「国民文学」として韓国で愛されてきたベストセラー小説でもある。1994年に『土地』が完結した後も小説、詩、エッセイを書き続けた。晩年には環境問題に関心を深め、江原道原州の自宅菜園で有機栽培などしながら、意欲的に執筆を続けた。2008年没。享年81歳。

【監修者プロフィール】
金正出(きむ じょんちゅる):1946年青森県生まれ。1970年北海道大学医学部卒業。現在、美野里病院(茨城県小美玉市)院長。医療法人社団「正信会」理事長、社会福祉法人「青丘」理事長、青丘学院つくば中学校・高等学校理事長も務める。訳書に『夢と挑戦』(彩流社)などがある。

【訳者プロフィール】
吉川凪(よしかわ なぎ):大阪生まれ。新聞社勤務の後、韓国に留学。仁荷大学博士課程修了。文学博士。著書『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ』、訳書『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、『都市は何によってできているのか』、『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう』、『アンダー、サンダー、テンダー』、『殺人者の記憶法』など。