「新しい韓国の文学」シリーズ第4作としてお届けするのは、韓国の国民的詩人といわれるシン・ギョンニムの詩選集『ラクダに乗って』。

 ラクダに乗って行こう あの世へは/
 星と月と太陽と/砂しか見たことのないラクダに乗って。
  ―「ラクダ」より

40年に及ぶ全詩業から選りすぐりの69篇を収録した、画期的な一冊となっています。
韓国民衆の暮らしを見つめ、それをすぐれた詩作品へと昇華させた出世作『農舞』の他、厳選した詩やエッセイ、訳者による詩人解説を収録。
韓国最大の詩人の詩業を一望できる内容となっています。

ためし読みはこちらから

壺井一歩:組曲「ラクダに乗って」〜女声合唱とピアノのための〜
本書収録「帰り道」「牧渓市場」「ラクダ」が合唱曲になりました!
こちらからお聴きいただけます。
作曲:壺井一歩 https://ippotsuboi.kumogakure.com/
指揮:見角幾代 ピアノ:星野郁子
合唱:女声合唱団カフェクレンツヒェン
(2021.11.7  牛久市中央生涯学習センター・文化ホールにて)

イベントレポ
刊行記念イベント シン・ギョンニム x 谷川俊太郎

(2012年6月30日、 在日本韓国YMCAスペースYホールにて)

●韓国の「いま」がわかる 「新しい韓国の文学」シリーズ

 韓国ドラマや韓国映画の流行で、韓国の人々の考え方やその生活のようすなどが日本でも広く知られるようになりました。
 ドラマや映画で韓国に興味をもった皆さんに、次におすすめしたいもう一つのジャンルが、「韓国の文学」。映像で表現されるドラマや映画と違い、小説やエッセイなどの形でつづられる主人公の心情や現代韓国の時代背景などは、とても味わい深く、韓国・韓国人への理解をより一層深めます。同時に、異国でありながら現代日本と驚くほど似ている部分、よく似ているように見えてまったく異なる部分なども、小説を通して感じていただけると思います。

 株式会社クオンでは、「新しい韓国の文学」というシリーズを立ち上げ、いま、韓国でよく読まれている小説の中から、文学的にも高い評価を得ている作品を厳選し、日本の読者に紹介していくプロジェクトを始めます。
 小説・詩・エッセイなど、2000年代に入って注目を浴びている実力派の現代作家の作品を、定期的に紹介していく予定です。
 ぜひ、韓国文学の豊饒な世界を通して、隣国・韓国の「いま」を感じ、味わってください。

●著者プロフィール : シン・ギョンニム(申庚林)

 1935年忠清北道中原郡(現・忠州市)生まれ。
 1956年『文学芸術』に「葦」などの詩を発表して創作活動を開始。処女詩集『農舞』以来、民衆の暮らしに密着したリアリズムと優れた抒情性、伝統的なリズムを取り入れた詩によって韓国現代詩の流れを一挙に変え、「民衆詩」の時代を開いた。
 1970年以降は文壇の自由実践運動、民主化活動で重要な役割を果たす。

●訳者プロフィール : 吉川凪

 大阪生まれ。
 新聞社勤務を経て韓国の延世大学語学堂、仁荷大学国文科博士課程に留学。文学博士。
 著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』(2002年 土曜美術社出版販売)、訳書に『ねこぐち村のこどもたち』(2002 年廣濟堂)『リナ』(2011年 現代企画室)などがある。