鄭麟永 著、金出正 監修、吉川凪訳 |  2023-06-30 | 四六判・上製本| 口絵32ページ、本文296ページ


「人は本をつくり、本は人をつくる」

世界で初めて教育保険を誕生させ、教保文庫・大山文化財団を創立した慎鏞虎。
教育と保険を通じて韓国が文化立国となる礎を築いたその生涯と哲学を、多数の写真と共に紹介。


【目次】
口絵 大山・慎鏞虎の歩んだ道の歩んだ道

第一部 光化門の真ん中に聳え立つ月出山
二十二階建てを十七階建てにしろ/月出山の精気で生き返った少年/挫折した普通学校入学/独学で身につけた実力/本が人をつくる/世の中が人をつくる 

第二部 青雲の志を抱いて
一歩先んじてこそ/野心に満ちて大陸へ/隙間市場を探す/小さな畑でも小作よりはいい/李陸史との出会い/初めての道 

第三部 大陸で咆哮する若き事業家
日本の大陸侵略/北京と上海での現場学習/同胞事業家との出会い/ゲリラ式穀物事業/創造し努力する者にチャンスが訪れる/跳躍の足がかりをつくった北一公社/師を失った悲しみ、そして日本の敗亡/経験だけを携えて帰国

第四部 挫折と失敗の連続
危機は絶望ではなくチャンス/建国の土台となる出版事業/北の支配下で生き残る/再び無一文に

第五部 国民教育と民族資本
世界で初めて教育と保険を結びつける/紆余曲折を経た設立認可/教育保険としてスタート/創業当時の市場開拓/信頼を得て業界トップに遠く広く見よ

第六部 人が希望、人を育てる
国民教育の夢、教保文庫/ソウルの一等地を本の天国に

第七部 建築に夢と希望を
社屋は企業イメージを創る/哲学と芸術を融合させた江南教保タワー/心の根本を磨く啓性院
 
第八部 公益事業への愛
暮らしの根幹、農村の近代化/文化の核心、文学を体系的に支援/持続可能な未来を目指して/保険産業開拓者としての栄誉 

第九部 果てなき挑戦の道
がんと診断され、命を懸けた十年/知人が一堂に会した傘寿祝い/道はいつでもどこにでもある 


【慎鏞虎の哲学】
「世の中にはただで得られるものも秘密もありません。ただで手に入れると、無料と幸運を期待し、努力せずに安易に手に入れようとするようになります。
そうしているうち、他人をだましたり世の中を怨んだりするようになり、悲観して意欲を失うものです」

「実践する学識を学力と言うのです。最近の若い人は学歴に執着していますが、学歴に頼っていると、社会生活で最も大切な人格の陶冶を忘れてしまいます。学歴より学力を養うべきです」

「過去と未来がはっきり変わったのに自分を新しくできず昔のものに安住するなら、不幸になるほかありません。
生存と発展の原理は新しくなることです。未来は誰も行ったことのない見知らぬ場所です。そこに向かって真っ先に駆けつけていかなければなりません」

「企業は社会という大きな枠の中で社会の構成員と共にする共同運命体です。
企業の利潤追求は企業の究極の目標ではなく、社会的責任を遂行するための手段に過ぎないと考えています」