|坪井兵輔 著|新泉社 刊|2019年2月28日|248ページ|



「南北の分断は決して他人事ではありえない時代に、東アジアの平和に向けて私たちはどのような道を見出すことができるのだろ
うか。
たったひとりの在日コリアン二世の歌が、分断を越える世界を思い描くための道標になると願うのは、無邪気な空想かもしれない。だが、願いなくして未来は描けない。
歌で人々をつなぐためにどんなに困難な状況でも与えられた役割に向き合い、分断の苦しみに寄り添いたいと願い続けてきた在日女性の生き様を見つめた。」
――本書より

「歌で〝故郷〞を届けたいと願っています」
大阪生まれの在日コリアン二世のソプラノ歌手として、朝鮮半島や日本に伝わる曲を歌い続ける金桂仙(キム・ケソン)。妻として、母として、嫁としての役割を生き、若き日に歌の道を諦め、48歳で音楽大学に入学し、歌手として再生した。元毎日放送ディレクターである著者がロングインタビューに基づく取材をおこない、そのライフヒストリーをはじめてまとめた。
朝鮮半島と日本、韓国と北朝鮮の「分断」。歴史の痛みに、歌で寄り添うことはできるのか。ひとりの在日女性の波乱万丈の生涯を通じて、多文化共生のあり方を問う。