ハン・ガン初の詩集(2013年原書刊行)に収められた60篇の詩を、著者の小説を手掛けてきた翻訳家きむ ふなと斎藤真理子の共訳によりクオンの詩集シリーズ「セレクション韓・詩」第一弾として刊行。
巻末に収録した翻訳家対談では、韓国における詩の受容や詩人としてのハン・ガンなど、広く深みのある話が繰り広げられており読者を韓国の詩の世界へ誘う格好のガイドとなっている。

著者による朗読音声もYouTubeで公開中。

ハン・ガンの小説は美しく、同時に力がある。
繊細さだけではなく強さがある。
その元にあるものがこの詩にあらわれている。
――斎藤真理子

ハン・ガンにとって詩は
内密な自分自身の声に正直なもの。
詩を書くことで、心身のバランスや
問いを直視し続ける力を回復していく。
――きむ ふな


2022年6月30日刊行|四六変型判|仮フランス装|192頁

目次
一部 明け方に聞いた歌
二部 解剖劇場
三部 夜の葉
四部 鏡のむこうの冬
五部 真っ暗なともしびの家
対談 回復の過程に導く詩の言葉──訳者あとがきにかえて


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PROFILE

著者:ハン・ガン
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。
1993年、季刊『文学と社会』に詩を発表し、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し作家としてデビューする。2005年、中編「蒙古斑」で韓国最高峰の文学賞である李箱文学賞を受賞、同作を含む3つの中編小説をまとめた『菜食主義者』で2016年にア
ジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞する。邦訳に『菜食主義者』(きむ ふな訳)、『少年が来る』(井手俊作訳)、『そっと 静かに』(古川綾子訳、以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳、晶文社)、『すべての、白いものたちの』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『回復する人間』(斎藤真理子訳、白水社)などがある。

翻訳:きむ ふな
韓国生まれ。訳書にハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、シン・ギョンスク『オルガンのあった場所』(以上クオン)、孔コン枝ジ 泳ヨン『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)など。著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。韓国語訳書の津島佑子『笑いオオカミ』にて板雨翻訳賞を受賞。

翻訳:斎藤真理子
新潟生まれ。訳書にパク・ミンギュ『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』(亜紀書房)、チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)、ハン・ガン『ギリシャ語の時間』(晶文社)、同『すべての、白いものたちの』(河出書房新社)、同『回復する人間』(白水社)、チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』(白水社)など。『カステラ』で第1回日本翻訳大賞、『ヒョンナムオッパへ』で韓国文学翻訳賞(韓国文学翻訳院主催)を受賞。