|キム・シヨン 著,岡崎暢子 訳|キネマ旬報社 刊|2021年6月11日|304ページ|



「大家さんと僕」シリーズの著者・矢部太郎さんが絶賛!
「第18 回ハンミ随筆文学賞」優秀賞受賞、今最も翻訳が期待される話題のエッセイ。

僕たちはみんな、互いに生かし生かされて今日を生きている―。
雑多な感情の中で今日一日も生き抜いたあなたに贈る、珠玉のエッセイ。

長い間ERと霊安室の間で緊迫した日常に追われていた韓国の医師・キム・シヨン氏が、「もう少し違う生き方があるのではないか」と考えて移った田舎町の病院で出会う人々。親戚との関係に思い悩む主婦、人生の岐路に立つ青年、そして今日一日を逞しく生きようとするややわがままなご年配の方々とのエピソードを、医師自身の幼き日や壮絶な過去を交差させながら、心象風景豊かに優しく紡ぎ出す。
ちょっとシニカルな町医者と、彼の診療所に集う患者たちとの対話に垣間見る、“私たちは互いに生かし生かされて、今日も生きている”という心温まる人生のメッセージ。たとえ自分が“大丈夫じゃないとき”も、周囲の人がそっと自分の味方をしてくれていることをじんわりと感じられる、38の温かくて愛おしい物語。

医師だって、誰もが持ち得る感情を等しく感じる平凡な人間である。
僕だって本当は“大丈夫じゃない”けれど、周りの人に生かされながら、
この感情ごと有難く今日を生きている、そんな人間のひとりだ。