「2021春川韓国地域図書展」の記念図書として、韓国の地方に位置する16の小出版社を取材した本。各社の販売数や利益など詳細な数字が書かれているのも興味深いが、地方にある小さな出版社が出版だけで生計を立てて行くのは容易なことではなく、彼等がその仕事を続けている理由が単純に儲けのためだけではないのがわかる。「市場価値が弱いという理由で地域の文化資産が消滅する危機に置かれている。そこで見張り人の役割をするのが地域出版社だ」「地域は国の根であり、出版は文化の根だ」「地域の歴史や文化、記憶を残さなければ」そんな使命感でこの仕事を続けているのだ。各出版社へのインタービューの最後で必ず「地域出版で食べて行けるのか?」「地域出版を他の人にも勧めるか?」という質問があり、どの会社も大手出版社の様に利益を上げている訳ではないのにも関わらず、口を揃えて「今この仕事をしていて幸せだ」と語っている。そこからも、彼等の出版に対する使命感の強さや、充実感が伝わって来る。