|김연수(キム・ヨンス) 著|문학동네 刊|2016.4(初版出版 2005年)|312ページ|

『夜は歌う』(2020、新泉社)と同時期に書かれた著者の三作目となる短編集。本作で第13回大山文学賞を受賞。

別れた妻とソウルの路地を彷徨い偶然と必然について考える今の時代の男、朝鮮戦争に従軍した中国人民志願軍兵士、王朝末期の朝鮮に赴くアメリカ人、真ん中を選ぶことは決して許されず、国家反逆者として処刑される朝鮮戦争下の女性など、登場する人物の時代や舞台は全く異なる9篇だが、どの作品も、自らを語る言葉を持てなかった者たちの声に耳を澄ませて書かれた物語。「個」の人間の内面をとおして「歴史」に向き合う。