学生たちの抗日運動は、西姫と平沙里の人々の心も揺らす
閉塞感の中で始まる第四部の行方は――。

【13巻あらすじ】
晋州で起きた同盟休校という形の抗日運動が弾圧され、西姫の次男・允国、漢福の長男・永鎬らが拘束された。
永鎬が同盟休校を主導したことで、漢福一家と平沙里の人々の関係は一転する。
そんな中、村で殺人事件が起き、満州行きの準備をしていた弘が巻き込まれた。
一方で、恵まれた境遇に育ったことに嫌悪感を抱いていた允国は、釈放後に自分の行くべき道を探そうと、新たな一歩を踏み出した。それは西姫に苦痛を与える行動でもあった。
ソウルでは任明姫が夫・趙容夏から逃れようともがき、身も心もずたずたにされながらも、ついに自分の殻を破る行動に出た。東京の緒方次郎は柳仁実への思いに苦しんでいた。

【著者プロフィール】
朴景利(ぱく きょんに)
1926年、慶尚南道統営市生まれ。晋州高等女学校、ソウル家庭保育師範学校(世宗大学の前身)卒。
1955年に短編小説「計算」でデビュー、1957年に短編「不信時代」で 『現代文学』新人賞受賞。
以後、次々と長編作品を発表し、各種文学賞を受 賞して実力派の作家としての地位を確かなものにすると同時に、韓国の女性作家の草分け的存在となった。
1969年から25年間にわたって書き継がれた大河小説『土地』は代表作で あり、韓国現代文学における最も優れた作品の一つと評される。また「国民文学」として韓国で愛されてきたベストセラー小説でもある。
1994年に『土地』が完結した後も小説、詩、エッセイを書き続けた。晩年には環境問題に関心を深め、江原道原州の自宅菜園で有機栽培などしながら、意欲的に執筆を続けた。2008年没。享年81歳。

【監修者プロフィール】
金正出(きむ じょんちゅる)
1946年青森県生まれ。1970年北海道大学医学部卒業。現在、美野里病院(茨城県小美玉市)院長。医療法人社団「正信会」理事長、社会福祉法人「青丘」理事長、青丘学院つくば中学校・高等学校理事長も務める。訳書に『夢と挑戦』(彩流社)などがある。

【訳者プロフィール】
清水知佐子(しみず ちさこ)
和歌山生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)朝鮮語学科卒業。
在学中に延世大学韓国語学堂に留学。読売新聞記者などを経て翻訳に携わる。訳書に『原州通信』『クモンカゲ 韓国の小さなよろず屋』、『つかう? やめる? かんがえよう プラスチック』、『9歳のこころのじてん』。共訳に『朝鮮の女性(1392-1945)─身体、言語、心性』『韓国の小説家たち Ⅰ』など。