残された者の痛みを抱く詩人は、死後の物語を追いかける。
わたしたちの生は、不完全な死だと告げながら。
三角みづ紀(詩人)

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韓国フェミニズム詩の旗手・ 金恵順 (キム・ヘスン )が<詩壇のノーベル賞>と称されるカナダのグリフィン詩賞をアジア人女性として初めて受賞した詩集『 死の自叙伝 』 。
光州民主化抗争やセウォル号事件など権力の暴力や怠慢によってもたらされた死、そしてすべての無念な死に捧げた 49 篇には、奇抜なイメージ、スピード感、時にグロテスクですらある力強さが存分に発揮されている。
本作と響き合う長詩「リズムの顔」も巻末に収録。

【著者:金惠順(キム・へスン)】
1955年慶尚南道蔚珍生まれ。詩人、評論家、ソウル芸術大学文芸創作科教授。文学博士。
1979年に詩人として出発して以来、韓国フェミニズム詩人の代表走者として活躍。これまでに十数冊の詩集 と 詩論集が刊行されており、日本でも文芸誌で作品が紹介されてきた。
金洙暎文学賞、素月詩文学賞、未堂文学賞、大山文学賞を受賞し、『死の自叙伝』英語版によって2019 年グリフィン詩文学賞(The Griffin Poetry Prize)を受賞した。

【訳者:吉川凪】
仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学専攻。文学博士。
著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ─高漢容と仲間たち』、訳書として『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、呉圭原詩選集『私の頭の中まで入ってきた泥棒』、チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』、朴景利『完全版 土地』、崔仁勲『広場』、李清俊『うわさの壁』などがある。
キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』で第四回日本翻訳大賞受賞。