2019年5月7日付の韓国日報一面で報道されたのは、ソウル中心部に現存するチョクパン村の現状と、その裏で暴利をむさぼる貧困ビジネスの実態だった。
老朽建築物の内部を超狭小部屋に分割改造した賃貸施設、「チョクパン」。わずか1坪(3.3㎡)余りの部屋に、浴室もボイラーもない劣悪な環境。しかし、まとまった額の保証金なしに賃貸契約をするのが難しい韓国で、ホームレス寸前の人々が入居できるのは、月23万ウォンほどの家賃で保証金不要のチョクパンだけだ。
住民との会話から貧困ビジネスの存在を感じ取った著者は、入手した膨大な資料を逐一データ化、分析し、そこから浮かび上がった事実を、住民への粘り強い取材によって裏付けていく。