キム・スム著/ウネンナム/2020年4月刊行/211×142㎜/280頁

1937年、沿海州に住んでいた17万人の高麗人(コリョサラム)が、ソ連政府に対日協力の疑いをかけられ、中央アジアに強制移住させられた歴史的事実をもとにした長編小説。

ある日突然、貨物列車に乗せられて、行く先もはっきりしないまま移住先へと向かう人々の悲劇的な運命が、列車内での彼らの会話を中心に描かれている。

まるで歌うように、詩のように紡がれる彼らの声には、不安や絶望から来る喜劇性も感じられ、悲劇的な事実がよりリアルに胸に迫ってくる。

第51回(2020年)東仁文学賞受賞作。