キム・ヨンスク著/千年の想像/2020年6月刊行/205×141mm/288頁

教養教育の新しい地平を開いたといわれる慶熙大学フマニタスカレッジで5年間、「古典を読む―朴景利の『土地』」という講義を行い、学生たちと共に人間の生と社会、他人と自分の関係について考えながらそれぞれの自分らしい生き方を模索してきた同カレッジのキム・ヨンスク教授による人文エッセイ。

「『土地』の言葉、そして朴景利先生の言葉を集めたいと思っていました。朴景利先生の本を読んでいる間、私の中に入り込んできたからです。アンダーラインを引いた文章を書き写しました。一つひとつ積み重ねていきました。それをあらためて読んでみると、優れた文章とか美しい表現とは何か違っていました。全身が壊れてしまいそうな痛みをどうにか耐えながら吐き出した言葉、糸くずみたいな小さな喜びをつかもうとする言葉、漆黒のような暗闇を耐え忍ぼうと歯を食いしばる言葉、だからやるせなくて切実な言葉の数々でした。取るに足らない人々のありふれた言葉も多くありました。彼らに惹かれるのはなぜなんだろうと思いました」
--(著者まえがきより)