嫌悪感、罪悪感、憐憫、執着、孤独、葛藤……。こういった感情が激しくぶつかり合い、今にも破裂しそうな「18歳」。矛盾だらけの18歳が自分と折り合いをつけながらしなやかに成長・回復していく姿を見事に描いており、爽やかな読後感を与える。しかし同時に、災害・事故の生存者や犯罪被害者の終わらない苦痛と「忘れられる権利」に鈍感なまま、あまりに無邪気な視線を向けてきた善良な市民(自分自身)の残酷さを振り返らずにはいられない。
精神科医で作家のチョン・ヘシンはこの作品を『日常のトラウマを通過中の私のそばの数多くの「私」たちに新しい細胞を再生させる治癒の小説』と評した。
YA小説だが、青少年だけでなく、かつて青少年だった大人が読んでも泣ける。