韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション09
『私たち皆のチョン・グィボ』


「無名のまま、死後にその名を知られるようになった画家チョン・グィボ(鄭貴寶 1972~2013)の人生は驚くほど平坦なものだった。私は美術専門のとある出版社から急ぎの依頼を受け、画集を兼ねた評伝の執筆に取りかかったが、特筆に値することのない彼の経歴に頭を悩ませていた」
伝説化された画家の足跡をたどって取材を重ねるうちに、「私」は不思議な世界に迷い込むーー。
*第 8 回金裕貞文学賞受賞作(2014年)
原題<우리 모두의 정귀보>

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■韓国語 朗読音声配信中(朗読:魯愛善)
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イ・ジャンウク(李章旭)
1969 年、ソウル生まれ。高麗大学ロシア語ロシア文学科および同大学院を卒業。
1994 年「現代文学」に詩を発表して文壇デビューを果たす。
2005年に出版された長編小説『カルロの愉快な悪魔たち』を皮切りに数々の小説を発表し、2011年に短編小説「イヴァン・メンシュコフの踊る部屋」で第2回若手作家賞本賞を、2014年に本作「私たち皆のチョン・グィボ」で第 8 回金裕貞文学賞を受賞。
また、2016 年には詩集『永遠ではないので可能な』で第24 回大山文学賞(詩部門)を受賞した。
現在は詩と小説両方の創作活動を行うとともに、東国大学文芸創作科の教授や「創作と批評」の編集委員も務めている。

翻訳:五十嵐真希(いがらしまき)
東京生まれ。早稲田大学卒業後、法律事務所に勤務。
訳書に『豊渓里 北朝鮮核実験場 死の情景』(徳間書店)、
『満州夫人』(かんよう出版)、『韓国、朝鮮の知を読む』『朝鮮の女性(1392-1945)—身体、言語、心性』(以上クオン、共訳)、
『銭の戦争』(竹書房、共訳)などがある。

【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】
翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を、日本語と韓国語の2言語で紹介する新シリーズ。
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