呉圭原の詩と詩論は、韓国詩壇にとって常に驚異だった――
年代ごとの代表作から辞世まで70作を収めた詩選集

「漢江の奇跡」と呼ばれた高度成長期。韓国の人々が豊かな生活を夢見ていた時、呉圭原は奇抜な表現で資本主義の虚妄をついた。
ウィットとユーモアで時代を軽やかに駆け抜けた詩人の軌跡を追う、日本オリジナルの詩選集。詳細な年譜付き。
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「CUON韓国文学の名作」はその時代の社会の姿や人間の根源的な欲望、絶望、希望を描いた20世紀韓国の名作を紹介するシリーズです。

目次
『明らかな事件』(1971)
『巡礼』(1973)
『王子ではない一人の子供に』(1978)
『この地に書かれる抒情詩』(1981)
『時には注目される生でありたい』(1987) 
『愛の監獄』(1991)
『道、路地、ホテルそして川の音』(1995)
『トマトは赤い いや甘い』(1995)
『童詩集 木の中の自動車』(1995)
『鳥と木と鳥の糞そして石ころ』(2005)
『頭頭(ずず)』(2008)
辞世
訳者解説
年譜

著者:呉圭原(オ・ギュウォン)
1942年、慶尚南道密陽郡生まれ。本名、吳圭沃(オ・ギュウォク)。
東亜大学法学部卒業。
1968年『現代文学』に発表した作品で詩人として認められて以来、小学校教師、会社員、出版社経営などに携わりながら詩作を続け、1983年からはソウル芸術大学文芸創作科教授として後進を指導した。
現代文学賞、燕巌文学賞、怡山文学賞、大韓民国文化芸術賞などを受賞。
1971年の『明らかな事件』から遺作詩集『頭頭』に至る十冊以上の詩集のほか、エッセイ集や詩論集、『呉圭原詩全集』(全二巻、文学と知性社)が刊行されている。
2007年2月2日没。

翻訳:吉川凪
大阪生まれ。仁荷大学国文科大学院に留学して韓国近代文学を専攻。文学博士。
著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ─ 高漢容と仲間たち』、訳書としてカン・ヨンスク『リナ』、『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、パク・ソンウォン『都市は何によってできているのか』、チョン・セラン『アンダー・サンダー・テンダー』、谷川俊太郎・申庚林『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくりと味わう』、朴景利『完全版 土地』、チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』、などがある。
キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』で第四回日本翻訳大賞受賞。