|황석영(ファン・ソギョン)著|문학동네 刊|2015.11|200ページ|

「わたしたちはいったい 何を間違えてしまったのでしょう」
取り返しのつかない過去を思いつつさまよう人々の叫びと祈りの物語

1960年代以降、大学進学によって貧しさから脱け出し、軍事政権による開発経済の恩恵を受け、建築家として成功した初老の男性。
急速な発展の結果として拡大した現在の格差の中で、多くをあきらめながら苦しい生活を送る劇作家の若き女性。
持てる者が失わなければならなかったものは何か。
持たざる者がなお手放さないものは何か――。

韓国文学を代表する作家 黄晳暎が
現代社会に生きる人間の魂の痛みを静かに描き出し、
2019年国際ブッカー賞の候補作にも選ばれた中編小説。

邦訳は2021年にクオンから『たそがれ』(姜信子、趙倫子訳)として出版されている。

著者:黄晳暎〔ファン・ソギョン〕
1943年満州長春生まれ。東国大学哲学科を卒業。
高校在学中に『思想界』新人文学賞を受賞。
短編小説「塔」が1970年朝鮮日報新春文芸に当選し、本格的な作家活動をはじめた。
世界各地で多くの作品が翻訳、出版されており
日本ではこれまでに『懐かしの庭』(2002年)、『客人』(2004)、
『パリデギ─ 脱北少女の物語』(2008年、以上岩波書店)、
『モレ村の子どもたち』(2019年、新幹社)『囚人 黄晳暎自伝』(2020年、明石書店)などが刊行されている。